日ノ出前検車区

趣味は朝活で。最近は備忘録と化しています

【Njゲージ】鉄コレ動力ユニットを短軸改軌してみた


Nサイズの模型において狭軌らしさを演出するため、鉄コレ動力ユニットを軌間9mmのNゲージから軌間6.5mm(Zゲージ)に改造する話です。KATOの動力ならば比較的簡単に改造できる※長軸改軌の場合のですが、鉄コレ動力はあまり前例を見かけなかったので記事にしてみた次第です。

なお、今回改造した動力ユニットはTM-05Rです。鉄コレ動力は型番により構造が違うことが多いので、異なる型番の物で実践される場合は各自研究をお願い致します(とは言っても軸間距離14mmのものなら台車の部分は全部一緒な感じがあります)。





目次



用意するもの

一般の家庭には無いと思われる物をリストにしました。

・KATOのギア付き車輪

今回の改造では元の鉄コレ動力ユニットの車輪、ならびに車輪に直結されている歯車(ギアスリーブ)は使用しません。代わりにKATOの車輪とギアスリーブを使用します。
KATOのギア付きの車輪は補修用パーツとして販売されています[]。また、お手持ちのジャンク車両から剝ぎ取っても良いでしょう。



プラ板
これはモデラ―なら持っているかもしれません。厚さ1.2mmの小さいスペーサーを作るので、t0.2のプラペーパーと1mm角材や1mmプラ板があると良いです。

・ピニオンプーラー
www.tamiya.com
本来はミニ四駆用品らしいです。KATOの車輪の車軸を動かすのに使います。

・硬線カッター

KATO車輪の車軸を切るのに使います。KATOの車軸は非常に硬い素材でできており一般のニッパー等での切断は難しい(できなくはないらしいが大変な上に工具がダメージを受ける)ので、硬線対応のワイヤーカッターなどを用意すると良いです。各社から販売されているのでお好みの物をお買い求めください。

・ダイヤモンドヤスリ
ダイヤモンドやすり 3本セット
切断した金属のバリを落とし角を丸めるのに使います。100均の物で大丈夫です。ダイソーと同じ物を600円で売ってるホームセンターを見たことがあるので……


・ノギス
ja.wikipedia.org
0.1mm単位で寸法が測定できる道具です。最低限金属製の物を買いましょう(かつて筆者が安いからと買ったポリカーボネート製の物は全く役に立ちませんでした)。色々なメーカーから出ていますのでお好みの価格帯の物をお選びください。


加工箇所

加工が必要な部品を順次並べていきます。

まずは台車を外して分解します

車輪

まず、KATOのギアスリーブの長さを詰めて長さ5.2mm程度にします。

←before after→

次に、金属車輪に付いている車軸の長さを詰めます。これをしないと左右の車軸がギアスリーブの中で接触してしまい、ショートの原因となります。

切断したら断面の角のバリはダイヤモンドやすり等で落としておきましょう。


最後に、車軸を動かして輪軸を組み立てた時の車軸の全長が11.1~11.2mmになるようにします。


写真のようにピニオンプーラーに車輪をセットし、上の蝶ナットを回すと車軸が動かせます。なお、KATOの車軸は非常に硬く尖ったほうを押しても先端が潰れないので、納得いくまで位置調整が可能です。

軸の長さの値は私が感覚的に決めたものなので、あくまで参考程度でお願いします。走りの様子を見て調整してください。




ウォームギアの蓋


ツメの間に台車集電板の厚さと同じだけの凹状の切り欠きを設けます。台車集電板はこの切り欠きの部分を通ります。


ギアボックス

この部品は加工箇所が3点あります。

KATOのギアスリーブは元の鉄コレ車輪よりも太いので、車軸が通る部分を若干削って大きくします。

←before after→
追記:

削るのは上の写真の赤い部分だけに留めたほうが良いです。鉄コレ動力の輪軸は上下方向の拘束がこのギアボックスとの接触で行われているためです(車軸上の部分を削る場合は全箇所均等に削らないと車両が傾いたりします)。

続いて、ギアボックスの幅を狭めます。ギアボックスが軌間を詰めた車輪の間に入るまで削りましょう。

←before after→

最後に、ウォームギアのフタのツメが入る2つの四角い穴を繋げて1つの細長い長方形の穴にします。集電板はこの穴を通ることになります。

←before after→


ギアボックスのフタ

この部品もギアボックス同様に幅を詰めます。また、台車レリーフを取り付ける部分の厚みも削って薄くしておきます。

←before after→


アイドラーギア

大きい歯車と車軸の間に入っている小さい歯車です。これも軸の長さが若干長く、車輪の間に収まらないので端を切って少しだけ短くします。

←after before→



台車集電板

写真のように厚さ1mm+0.2mmのプラ片を貼り付けました。



組み立て

基本的には元と同じように組み立てますが、集電板を通す位置だけがオリジナルとは異なります。

元々の集電板の穴ではなく、新しく開けた角穴に入れます。

こんな感じに組みあがります。


床板の集電板を曲げる

最後に、床板側の集電板をいい感じに(ここ重要)曲げて、台車集電板と接触するようにします。


全ての加工と組み立てが上手くいっていれば走るはずです。




左が加工した動力ユニット、右は鉄コレの台車そのまま。Njゲージ、特に短軸改軌なら台車が奥まった位置にある狭軌車の感覚が再現できます。

元の鉄コレの台車レリーフはデフォルメされていて特にボルスタアンカーまわりの張り出しが足りないので、今後資料を漁って南海21000の台車を3Dモデリングしようと考えています。
参考:以前撮った実車の写真


Njゲージ化は改軌が容易という理由でKATO製の模型に対して施すことが一般的ですが、鉄コレの改軌もいざKATO車輪に変えてしまえばとても簡単でしたし、なにより短軸改軌が比較的容易にできるのは魅力的です(KATOの模型はじゃあ短軸改軌はというと非常に面倒で、筆者の場合は結局台車ごと3Dプリントで出すという手法で実現しました)。今後は鉄コレ動力ユニットも積極的に活用していこうと思います。

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