かつてJR久里浜駅の脇にいた横浜総合訓練センターの105系を作ります。前回の記事はこちら。
・目次
塗装
車体の塗装
最初に貫通扉を淡緑1号で塗ります。
次にメタルプライマー……と思ったのですが、加工から塗装までで半年以上放置したせいで配管類が錆びており、その前に錆落としをする羽目になりました。仕掛け品を積むのはいけませんね(白目)
今回の種車の鉄コレ仙石線105系は成形色が白でした。車体が透けていると安っぽいので、
配管類を軽くマスキング→内側→外側の順でカステンのC-18『電飾用 遮光ブラック』を吹きました。
配管類は繊細なので可能な限り余分な塗料を乗せたくないという理由でマスキングしています。
詳細は後述しますが、外側に遮光ブラックを吹いたことが後に2度の悲劇を招きます……
次に、黒帯のマスキングをします。書けば一言ですがこの作業はつらいので好きじゃないです。
これで一日溶けました。ドアに帯がかかってなきゃだいぶ楽なんですがね……ホントにしんどいです。
黒帯が少しだけ前面に回り込むのがこれまた面倒でして……
今更ですが車体に追加工をします。屋根横の雨樋の水を運転台横の縦樋に誘導する「ジョウゴ」部です。横幅が大きい物と小さい物のバリエーションがあり、元の鉄コレは幅狭タイプを再現しています。鉄コレ製品のプロトタイプはクモハ105-101+クハ105-105で(こちらは新秋津の訓練車になりました)、ジョウゴは大型のものでした。……とは言っても、大型ジョウゴを再現した製品はまずないように思います。知る人ぞ知る細かい差です(笑)
元のジョウゴを撤去し、プラ帯を切って貼って改造します。
本来なら塗装に入る前にやるべき加工ですよ??
ジョウゴ大型化が終わったら配管保護用のマスキングを剥がし、車体色の白として全体にガイアノーツのNo.071『ニュートラルグレーⅠ』を吹きます。ただの白を使わないのがこだわりです。
塗って気づきましたが、元の鉄コレのジャンパ栓受の表現がいいですね。製品状態だといいかげんな塗装のせいで全く見えなかったのです。
実車同様に車体から少し浮かせた縦樋も隙間が埋まらずに残ってくれていました。やったね。
次に黄色を塗ります。
窓周りは細切りのマスキングテープで外縁部の形状を出し、その枠の中を適当に切ったマスキングテープで埋める戦略をとりました。厚塗りになるのを防ぐため、青くする予定の部分も覆っておきます。
マスキングが済んだらMr.カラーのC113『RLM04 イエロー』を吹きます。彩度が高いにもかかわらず「軽い」感じのしない黄色なので気に入っています。
オデコの白を残すべき部分は表から覆っておしまいにしていましたが、裏からも保護するべきでした。車内側から吹き込んで黄色くなってしまうところでした。ヒヤリハット。
全体が黄色くなったら青くする部分のマスキングを剥がします。
続いて黄色い部分を保護します。ドアに青が吹き込まないよう、丹念にマスキング。
手抜きするとすーぐ吹き込むので怖いもんです。
面倒なのは前面です。狂いそう……🐧
マスキングできたらガイアノーツのCB-15『コバルトブルー』を塗ります。
テールライトの塗り分け線が独特なので、尾灯のライトリムは適当なプラ片に穴を開けた冶具を使って塗り、塗装が終わった後で取り付けることとしました。
で、マスキングを剥がします。
この後悲劇が起こります。
黒帯のマスキングを剥がしたら……
黒帯ごと剥がれました。
……
Bトレ版を作ったときはこんなことにならなかったんですけどね。
原因はおそらくカステンの遮光ブラックを使ってしまったことでしょう。厚吹きしなくても遮光できるよう、通常の塗料よりも顔料の割合を増やしてあり、樹脂成分が少ないので塗膜の強度は低い……と考えれば納得がいきます。
遮光ブラックにテープはNGでした。
ただ、IPAドボンにするほど酷くはなかったので筆でリカバリーをします。
↑この判断が後に別な悲劇を招きます。今思えばこの時点で諦めてドボンして普通の黒で塗り直すべきでした。
修正作業にはMr.リターダーマイルドが大活躍しました。普通のシンナーで薄めて筆塗りすると塗料が糸を引いてうまくいかないのですが、リターダーマイルドで薄めると乾きが遅くなり筆でタッチアップができるようになります。
あともう一つ悲劇が起こっていました。
前面強化のエッチングパーツが酸化していたのか、プライマーが食いついてくれず剥がれてしまいました。当該箇所を磨いてからマスキングして再塗装です。
はぁ……
今回学んだことは
- カステンの遮光ブラックにテープを貼らない
- エッチングパーツの酸化膜はきちんと落としておく
です。
続いて屋根を塗ります。
マスキングしてからGMのNo.35『ダークグレー 屋根』を吹き、Mr.のつや消しクリアーを吹きます。
ちなみに、配管類は下にマスキングテープを潜り込ませて車体の塗色を保護しています。
これが終わったら吹き込みの表現をします。車体の塗色が屋根にまで付いてしまっているアレです。程度に関しては個体差、時期による差が激しい部分ですが久里浜の訓練車はかなり†しっかりと†吹き込んでいたようです。
エアブラシならではの芸当。
続いて配管に色差しをします。ここでもMr.リターダーマイルドが活躍しました。
0.1mmプラ板を重ねて凸形にした台座も形を残したまま塗れて一安心です。
こんな感じに仕上がりました。パイピングを壊さずに塗れて一安心です。
細かい色を入れます。運番表示器の跡とカモメの白を塗ります。
Bトレ版を作ったときはガイアのNo.002「ピュアホワイト」で塗りましたが、その改良版であるNo.031「アルティメットホワイト」を使いました。隠蔽力を増すべく顔料の割合を多くしたとのこと。顔料マシマシ……ウッ頭が
上に塗るなら全く問題はありません。隠蔽力の強い優秀な塗料です。
カモメはBトレ版を作ったときと同じ、自作ステンシルシートの上に透明デカールを重ねる手法を使いました。
クツズリにポスカの銀で色差ししておきました。
実車はクツズリの部品がステンレス製の物に交換されていたようです。
インレタ
自分でデカールを作る気満々で画像を作っていたのですが、世田谷総合さんからインレタが出ました。
パーツ類の塗装
ここまでで基本的な車体色の塗装が終わりました。続いて細部や部品類を塗装していきます。
ベンチレーター
αモデルのベンチレーターを使いました。ただ、中央部分が僅かに凹んでいるのが気になります。ヒケでしょうか?GMのEVO用のパーツが分売されたようなので今度はそちらにしようかな。
クーラー
元の鉄コレに付いてきたクーラーを再塗装しm……せん。
自分で撮った写真がないので実車の画像は貼れませんが、資料を見返していたらクハとクモハでクーラーが違うことに気付きました。
訓練車の実車はどう見てもクハ側がAU75G2、クモハ側が一般的なAU75Gなんですね。
この車両の後継機209系もクーラーが互いに異なったのですが(片方は試作形の角張ったAU720)、まさかこれが先輩リスペクト仕様だったとはなぁ(妄想)
あっても困らんやろの精神で購入しておいたパーツが役立ちました。
αモデルのNo186『集中型クーラーAU75G2』です。相方の一般的なAU75GはGMのパーツを使いました。
一番造形が良いと感じたのは鉄コレに元から付いていたクーラーだったのですが、下部が潰れていたりして品質がイマイチだったので不採用としました。KATO、TOMIX(古い211系に付いていた物)も比較検討した上での判断です。もしかしたら今はTOMIXのほうの金型がリニューアルされていたりするのかな?
GMとαのクーラーをMr.カラーのスーパーステンレスで塗装して屋根に乗せました。取り付け足がKATO用とTOMIX用の2種類ありましたが、うまく嵌まらなかったので両方とも切断して両面テープで取り付けました。
ご迷惑をおかけします他のドアへお回りください
ドア故障時の取り扱い訓練も行っていたようで、ドアのところに付ける黄色い幕が装備されていました。かつて武蔵野線ではこの訓練の成果がしょっちゅう†活かされていた†ようですね?
ペイントで作った画像を印刷してガラスの裏から貼りました。こういうイースターエッグを仕込めるのも訓練車ならではですね。
ちなみに、この装備は209系にも引き継がれています。実物の画像はこちら。
http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2008/08/post_847.html
こんな感じに仕上がりました。
鉄コレ動力と床板を付けたら(仮)完成です。
塗装の経年劣化
3年後。
ボディの塗膜にヒビが入っていました。
Bトレ版との塗装の違いは黒の塗料だけなので、やはり下地に遮光ブラックを吹いてしまったことが原因なのでしょう。
皆様も遮光ブラックは遮光目的での使用に留め、重ね塗りはしないようにしましょう。以上、若き(当時)モデラーの失敗談でした。
どうすっかな……綺麗に戻せる気はしないので、割れ目に赤錆のような茶色のエナメル塗料を流し込んで固めつつサビ表現にしようかなとか考えていますが絶賛放置中です。崩れる前に何とかしたいものですが……