グリーンマックスのコアレスモーター動力ユニットを改造する話です。
薄型でコンパクトそうな動力だと思い、M車いえどもやっぱり室内空間はなるべく多く確保できたほうがいいよな、ということで買ってみました。
目次
・床面高さの比較
実際どうなのか、ということでKATOのE233系6000の動力ユニットと並べてみました。
……一緒じゃん!!なんならモーター避けで盛り上がっている分だけGMコアレスのほうが床が高いです。
写真を見れば原因は明白ですね。フレーム(台枠?)と台車の間のスキマが大きいです。……ハイリフトというか何というか、腰高感が否めません。
・車高を下げる
台車を外してみたところ、特にこの高さに機能的・構造的な意味はないようなので車高を下げてみようと思います。
ついでに言うと、集電板のここをちょっと削れば回転中心のパーツの位置がずらせますね。台車間距離の微調整もできそうです。
台車集電板を切って長さを詰めます。詰めすぎに注意。私は下の角から測って4mmのところまで詰めました。長さを詰めたら色々な番手のヤスリで角を丸くして表面をなめらかにしておきましょう。また、前後左右の集電板の寸法が揃うようにしましょう。
回転中心の位置決めをする部分も削って背を低くします。ここも台車の可動域が十分確保できるまで削りますが、削りすぎにはご注意を。
台車を保持する部品のほうも同様です。台車を押さえる四角い枠も削って写真下方向に拡大します。
すると車高が下がります。盛り上がった部分の高さでKATOと同じ程度まで下げることができました。これを使えば内装がすっきりしたM車が作れそうですね。
・カントレールで試運転
問題なく走ります。KATOのカントレールのアプローチ部で一番ねじりがキツいR282(315/282の内側)を走らせてみましたが、特に問題なく走ります。
・TOMIXのポイントレールで試運転
改造して車高を下げたGMコアレス動力にはもう一つ懸念事項があります。TOMIXのポイントレールとの相性です。
GMコアレス動力には鉄板?が張り付いていますが、これはモーターの磁力を散らす目的で付けられているようです。モーター内蔵の永久磁石が分岐器のトングレールを吸い寄せてコケるやつの対策ですね。実際、取り外して走らせるとポイントでの脱線が多発するとの報告があります。
車高を下げた=モーターと線路が近づいた、なわけですからここも試験をする必要があります。
TOMIXのポイントは手元にないので、レンタルレイアウトで試運転をしてきました。
結果、特に問題はありませんでした。GMコアレスはなんであんなに元の車高が高いんでしょうねぇ……?
・起動電圧を上げる(ツェナーダイオード編)
GMコアレス動力は起動電圧が低く、常点灯ができないことで有名だそうです。実際、走り出しの電圧は低いです(手元で測ったら0.3V程度)。常点灯は私がこだわりたいところなので、以前紹介した手法を用いて起動電圧を上げてみました。
付けるツェナーダイオードの選定のため、オーバルを組んでモーターに流れる電流量の測定をしました。また、死重としてKATOのT車を6両付けておきました。その結果、乱暴運転をしても40mAも流れなさそうだということが分かりました。
ということで、ブリッジダイオードと2種類で電源を変えて実験をしてみました。
ツェナー電圧7.5V
電源 | 起動電圧 | 最高速度(電源12V時スケールスピード) |
---|---|---|
スタンダードSX | 6V | 39km/h |
スタンダードS | -V | -km/h |
ツェナー電圧5.1V
電源 | 起動電圧 | 最高速度(電源12V時スケールスピード) |
---|---|---|
スタンダードSX | 3V | 75km/h |
スタンダードS | 6V | 180km/h |
電源の違いが顕著に表れますね。ここまで差が大きいと、レンタルレイアウトの定番コントローラーN-1001-CLとの相性も見ておくべきだと思いますが、あいにく手元にないので実験ができません。買うかぁ?
・起動電圧を上げる(可変抵抗編)
ツェナーダイオードによる改造はコントローラーとの相性の良し悪しがありそうなので、別な手法を試してみることにしました。可変抵抗です。
最大でも40mA程度しか流れないなら、いっそ抵抗でいいんじゃない?という発想です。
というわけで、ネットで前例を検索して買ってきました。0.1W450Ωの可変抵抗です。今時こんなに小さいものがあるんですね。
これをモーターと電源の間に挿入して試験をしました。抵抗の設定値としては275Ω(真ん中の所)と400Ω(設定範囲の端)を、電源としてはKATOのスタンダードSXとS、TOMIXのDU-1の3種を使用しました。
400Ω時
電源 | 起動電圧 | 最高速度(電源12V時スケールスピード) |
---|---|---|
スタンダードSX | 3.5V | 102km/h |
スタンダードS | 4V | 144km/h |
DU-1 | 4V | 123km/h |
275Ω時
電源 | 起動電圧 | 最高速度(電源12V時スケールスピード) |
---|---|---|
スタンダードSX | 2V | 133km/h |
スタンダードS | 3V | 192km/h |
DU-1 | 3V | 165km/h |
……単にスタンダードSXとGMコアレスの相性が悪いだけな気がするな???スタンダードSXだけ起動電圧が低く最高速度も低く出るようです。爆走は論外ですがあんまりに遅いのもそれはそれで興ざめなのでこれは考えものです。
なお、この可変抵抗は定格電力が0.1Wと小さく熱的に問題があるのではないかと考えていました。そのため走行実験中に抵抗に触れて温度を確認していたのですが、特に発熱を感じることはありませんでした。モーターに電流が多く流れるのは加速中の数秒間だけなので問題がないのかもしれません。実際、平坦なオーバルを走行中の電流量は10mA程度でした。勾配があるとどうなるかは要検証です。
・KATO車輪に替える
私は基本的にKATOの黒染め車輪を使用しているので、統一感を出すために動力もKATOの車輪に交換したいところです。KATO車輪が使えるとスポーク車輪が選択肢に入るというメリットもあります。
というわけで元の車輪をギアスリーブから抜いて、代わりにKATOの車輪を入れてみました。しっかり入るじゃん!
元のGM車輪の軸径は1.0mm、KATOと同じでした。多少の当たり外れはあるようで運が悪いとすきまばめのような状態になりますが、基本的にはしまりばめ状態になってくれます。
なんならギアスリーブごとKATO製のものに交換しても走りました!同じ12歯だしまさかな~~と思ったらそのまさかでした。なお、車輪を交換する場合は車軸が集電板に触れるようにKATO車輪の軸を動かして車軸の全長を伸ばしましょう。(KATOの輪軸の金属部分はは車軸と車輪が別パーツで、しまりばめ的に固定されています)
色々と改造してみた系のレポートを書きなぐった感じの記事になってしまいましたが、何かのお役に立てば幸いです。GMコアレスを毎回改造するのは正直しんどいので、何かすっきりした低床動力ユニットの決定版が出てくれると嬉しいのですが……マイクロエースのLaviewの動力が汎用動力として発売されたりしないかなぁ。