Nサイズの模型において狭軌らしさを演出するため、鉄コレ動力ユニットを軌間9mmのNゲージから軌間6.5mm(Zゲージ)に改造する話です。KATOの動力ならば比較的簡単に改造できる※長軸改軌の場合のですが、鉄コレ動力はあまり前例を見かけなかったので記事にしてみた次第です。
なお、今回改造した動力ユニットはTM-05Rです。鉄コレ動力は型番により構造が違うことが多いので、異なる型番の物で実践される場合は各自研究をお願い致します。
目次
加工箇所
加工が必要な部品を順次並べていきます。

車輪
今回の改造では元の鉄コレ動力ユニットの車輪、ならびに車輪に直結されている歯車(ギアスリーブ)は使用しません。代わりにKATOの車輪とギアスリーブを使用します。
KATOのギア付きの車輪は補修用パーツとして販売されています。また、お手持ちのジャンク車両から剝ぎ取っても良いでしょう。
まず、ギアスリーブの長さを詰めて長さ5.2mm程度にします。

次に、金属車輪に付いている車軸の長さを詰めます。これをしないと左右の車輪がギアスリーブの中で接触してしまい、ショートの原因となります。
なお、KATOの車軸は非常に硬い素材でできており一般のニッパー等での切断は難しい(できなくはないらしい?)ので、硬線対応のワイヤーカッターなどを用意すると良いです。断面の角のバリはダイヤモンドやすり等で落としておきましょう。
最後に、車軸を動かして輪軸を組み立てた時の車軸の全長が11.1~11.2mmになるようにしました。
なお、軸の長さの値は私が感覚的に決めたものなので、あくまで参考程度でお願いします。走りの様子を見て調整してください。
よく分からない方はこちらの記事をご覧ください。
ギアボックス
この部品は加工箇所が3点あります。
KATOのギアスリーブは元の鉄コレ車輪よりも太いので、車軸が通る部分を若干削って大きくします。

続いて、ギアボックスの幅を狭めます。ギアボックスが軌間を詰めた車輪の間に入るまで削りましょう。

最後に、ウォームギアのフタのツメが入る2つの四角い穴を繋げて1つの細長い長方形の穴にします。集電板はこの穴を通ることになります。

アイドラーギア
大きい歯車と車軸の間に入っている小さい歯車です。これも軸の長さが若干長く、車輪の間に収まらないので端を切って少しだけ短くします。

台車集電板
写真のように厚さ1mm+0.2mmのプラ片を貼り付けました。
組み立て
基本的には元と同じように組み立てますが、集電板を通す位置だけがオリジナルとは異なります。
元々の集電板の穴ではなく、新しく開けた角穴に入れます。
こんな感じに組みあがります。
床板の集電板を曲げる
最後に、床板側の集電板をいい感じに(ここ重要)曲げて、台車集電板と接触するようにします。
全ての加工と組み立てが上手くいっていれば走るはずです。

左が加工した動力ユニット、右は鉄コレの台車そのまま。Njゲージ、特に短軸改軌なら台車が奥まった位置にある狭軌車の感覚が再現できます。
元の鉄コレの台車レリーフはデフォルメされていて特にボルスタアンカーまわりの張り出しが足りないので、今後資料を漁って南海21000の台車を3Dモデリングしようと考えています。
参考:以前撮った実車の写真
Njゲージ化は改軌が容易という理由でKATO製の模型に対して施すことが一般的ですが、鉄コレの改軌もいざKATO車輪に変えてしまえばとても簡単でしたし、なにより短軸改軌が比較的容易にできるのは魅力的です(KATOの模型はじゃあ短軸改軌はというと非常に面倒で、筆者の場合は結局台車ごと3Dプリントで出すという手法で実現しました)。今後は鉄コレ動力ユニットも積極的に活用していこうと思います。