【7月ガチャ新製品のご紹介②】
— 株式会社トイズキャビン (TOYS CABIN Co.,ltd) (@TOYSCABIN) 2023年3月28日
「1/64スズキキャリイ2 荷物付き 400円」
3年前にリリースしたキャリイに、幌や荷物を追加して発売します。様々なシーンで活躍する軽トラですが、特に1/64カタナとアドレスが画期的!(自画自賛)🏍️ pic.twitter.com/lCHhJLNWYa
ベースとなる車両はトイズキャビンのスズキ キャリイです。再生産が発表された次の瞬間に予約しました。全部欲しかったけどガチャで当てにいきたくはなかったので通販でフルコンプセットを買いました。ごめんネ!
1067mmの1/64は16.67…mmと、16.5mmにかなり近い値になります。名鉄は狭軌なことですし、ならばこれは†HOゲージ†の車両として遊んでもいいのでは!?という発想で作ってみることにしました。
余談ですが、IMONの縮尺別分類リストにはかつて1/64の模型を扱っていたような痕跡がありました。どんな製品だったのでしょうか。
・目次
実車について
ネットで資料を探したところ、
3連休はいかがお過ごしですか?私は3/19、「にしがま号」出発式に参加しました(^^)
— トレイン西尾(電車の下半身)🚃🌈 (@groovy_express) 2022年3月21日
往年の特急を模した白帯6000系。子供の頃、7700系の急行蒲郡行きに乗ったので懐かしさ全開!
それにしても軽トラ魔改造の事業車、現行キャリーで今も健在な様ですw#にしがま線 #名鉄 #6000系 #蒲郡線 #西尾線 pic.twitter.com/L31EvSm52N
このガチャガチャと同じ車種の軽トラモーターカーとして「東土 No.5」と「中土 No.5」という車番?が割り当てられている車が見つかりました。
なお、今回作る名鉄の軽トラ保線モーターカーは三菱のミニキャブトラックがベースですが、どうやら2014年度?以降の三菱の軽トラはスズキからのOEM供給品らしく、実態としてはスズキのキャリイと同じクルマなようです。
日産のクリッパーもスズキのOEM、ホンダのアクティは終了、あのスバルのサンバーすら今やダイハツのOEM……今や軽トラはスズキとダイハツの2社に収斂してしまっている模様です。もはや軽トラはその程度までに旨味の少ないマーケットなんですかねぇ……(かなしい)
過去の名鉄軽トラも含めて詳細に解説しているページを見つけました。実車の詳細はこちらをご覧ください。
軽トラガチャを軽くレビュー
こんな感じです。かわいい。プロトタイプの軽トラはスズキのDA16Tという形式だそうです。パケ写だとLEDヘッドランプ+フォグランプのメーカーオプション付き仕様なのですが、実際の製品ではいずれのオプションも付いていないようです。
裏側はこんな感じ。かなり気合を入れて作ってあります。
積荷の原チャリ。見た感じスズキのアドレスV50かな?あっさりめなモデリングながら印象把握は完璧、タイヤも別パーツでホイールの穴が綺麗に抜けています。トラック込みで400円やぞ……クオリティどうなっとんねん。
なお、今回の主役の白の軽トラですが、タイヤが正しく組み立っておらず不格好な個体でした。ただ、この組立不良品が私の手元に来たのは非常に幸運なことだと思います。白はどうせバラすので何でもいいですから、ね。
問題なく仕上がっていた残りの4台はそのままで可愛がろうと思います。
分解する
分解はかなり苦戦しました。
結論ですが、バラすとこうなっています。
運転席パーツ+足回りパーツがボディにベッタリと接着されています。ちなみに上の写真では足回りのパーツは分解時に折れてしまいました。分解の際はボディを割らない注意が必要です。
車輪の選定
鉄輪化にあたり、最初に車輪の選定を行います。
手元にあった一番手軽な車輪はKATOのφ5.6mmです。ちょっと小さい気がしたので別な物も探ったのですが、KATOの電気機関車(EF65)用のφ7は大きすぎました。†はさみうちの原理†によりφ6〜7mmの車輪を探したのですが、どうもこのサイズ帯は選択肢があまり多くないようです。あっても両側絶縁の物とか……集電できないじゃんね。
……実車画像と見比べましたが、これでいい気がします。KATOのφ5.6で行きましょう。
主機の選定
車両の車輪を回すための電動モーターのことを鉄道業界では主電動機と言いますが、自動車業界では主機と呼ぶようです。
Pololuの遊星歯車付きのφ6モーターにウォームギアを噛ませ、これを車軸の平歯車と噛み合わせるつもりで作ります。何年か前にこれ単体の分解レビューをしています。よろしければどうぞ。
軸に穴を開けてウォームギアを取り付けました。治具とかも作ってみたのですが、なかなか綺麗に芯が出ませんねぇ。卓上旋盤欲しいな……?
足回りの製作
今回の本題、足回りを作っていきましょう。モーターの置き場の関係で前輪を駆動輪、後輪を非駆動輪とすることにします。車両工学的にはMFとかいう特殊なレイアウトになりますね👻
非駆動軸の製作
床板側の改造
改造前にベース車両の不用物を撤去します。保線モーターカーにタイヤはいらないので、まずはスペアタイヤを外して……
まさかの別パーツ!何とスペアも鉄チンホイールの穴が抜けています。すごいぞトイズキャビン。
続いて車軸周りを改造します。HOゲージの軌間に合わせた車輪が入るまでフレームを削り、元の車軸の穴も開削します。
バックゲージ(車輪の裏面間の距離)は15mmで作ります。KATOのNゲージはバックゲージ7.55mm、これを軌間9mmから差し引いた差分を軌間16.5から引くと15.05……もとい15mmというわけです。
続いて、やじろべえ的somethingを作ります。前輪は車体に対して剛固定にするため、代わりに後輪側が振れることでカントや軌道の狂いに追従する機構となります。
自動車でいうリジッドアクスルに近い構造です。ちなみにキャリイは実車も後輪がこの構造を取っていたりします。
車軸はここに接着されているφ1.0-1.5真鍮パイプを通り、この部分が軸受とスリップリング(集電環)を兼ねる構成としました。集電用のケーブルには可撓性の高いオヤイデ電気の極細ワイヤーを使っています。
非駆動輪の輪軸
KATOの車輪に元々付いている軸では短すぎたので、
Nゲージの動力台車のウォームギアから軸を抜き取り、
それを車輪に挿し込みます。
こうして、
左右をKATOのNゲージ用のギアスリーブで繋ぎます。これで回転と集電が両立できます!
ギアスリーブには小孔を開けてφ0.2の針金を通し、車軸のストッパーにしてあります。メカ組み立てとしてはドン突きまで入れてくださいが自然ですからね。
ちなみに最初は集電用の真鍮管と軸受を別にして内径1mm-外径3mmの極小ベアリングを使おうとしていましたが、細かすぎて組み立てや挙動の安定性に難がありそうだったのでやめました。ここまで小さいと部品点数を減らすほうが有利ですね。
駆動軸の製作
駆動輪も後輪と同じような構成で作り、左右はギア付きのスリーブで結合します。こちらも針金を打って途中で車軸が止まるようにしています。
なお、前輪のユニットは元のカーモデルのロアアームの部品を活用してねじ止め式にしました。メンテナンスのためにも可動部は取り外せるようにしておきたいですから、ね。
ここまでが終わってこうなりました。モーターを取り付けましょう。
モーターの設置
リューターで運転席と床下機器(?)の表現を削り込み、モーターが入る場所を確保します。かなり削ります。荷台の裏側も彫刻刀で削っています。内装パーツも削ってウォームギアの場所を確保します。さようならドリンクホルダー……
荷台の下に関してはそれでも場所が足りないので、
泥除けを切断して車体側に接着し、床下機器?全体をさらに0.5mm嵩上げしています。
色々やって何とかモーターがエンジンマウントメンバーの下に収まりました。トランスミッションの表現は潔く諦めることにしました。
床下機器はモーターカバーにあたる部品なので、車体との固定は磁石にして取り外し式としました。ハイキューのφ2.5ネオジム磁石を使っています。
配線
前後輪とモーターを結線します。
ここで単に全てをハンダ付けするだけだとメンテナンス性に難があると考えたので、今回新しく考えたコネクターを使いました。
エクステンション基板を小さく切り、1×1×4mmネオジム磁石で挟むだけ!シンプルです。
繋ぎやすい、切れない、外れやすいといいことずくめです。ただし、電気モーターの横に持ってくるとモーターにくっつくのだけは面倒かも。
ここで一旦試運転をしました。結果、問題がいくつか出たので改良をしました。
ウェイトの搭載
車体重量が軽すぎて集電が渋い・車輪が空転していたので、ウェイトを積みました。運転席の下部に釣り用の鉛を詰めています。
モーターの交換
最高速があまりにも遅いことも問題でした。遊星歯車の1/26減速にウォームギアを付けるとさすがに遅すぎですね。あと遊星歯車がうるさいです。
ということでモーターを買い直しました。
1:5.1の物です。am͜a͉zonで1300円ぐらい、AliExpressだと800円ぐらいでしたが納期が(迅速配送で)2週間でした。
ちなみに前回の遊星歯車は朱雀技研さんから買ったのですが、2023年に倒産していたんですね……世知辛いものです。
同じように組み直して試運転。📞🐱<どうしてPololuのアメリカ製?とよく分からない中国製に完全な互換性があるんですか?
うまいこと走りました!!速度もいい感じ。手動で開けた穴が芯振れしていて少々うるさい以外は良さげです。
最後に付属の幌をちょいと整形して乗っけます。製品状態だと上手く嵌まらないのが惜しいところ。この幌、成形色が黒なのでプラの透け感がなく実感的です。グリーンマックスくんも見習って?
ようやくスタートラインに立てました!次回はここから名鉄車に仕上げていこうと思います。
続きます。
余談
ドイツのミニチュア用動力関連部品の店です。小さなラジコンカー用のギアボックスを売っている、かなりアツいお店のようです。検討の結果今回は使いませんでしたが、いつか使ってみたいですねぇ。このサイト、皆様もぜひ覗いてみてください。円安の辛さがよく分かりますヨ……(涙)