鉄道模型の新しい走り装置を作りたくて必要になったので作りました。回転軸の向きを90度変えられれば何でもいいのでクラウンギアでもOKで、車輪の大きさとの兼ね合いで外径が10.5mm未満というのが必須条件です。
この手の歯車は入手性で言えばタミヤのミニ四駆用の物が最高なのでまずその線で検討したのですが、外径が10mmを超えていたのでダメでした。
家にあったZZトレインのクラウンギアが使える!!と気づいたりもしたのですが、廃盤品なので入手性に難があります。
それらしい歯車を求めてネットサーフィンもしてみましたが、やはり良さげなものは見つかりませんでした。在宅では埒が明かないと思い秋葉原を徘徊したり渋谷の東急ハンズに行ったりしたのですが、適したものは見つかりませんでした。ちなみに2月頃の話です。念のため。
歯車のような機械部品の小さい物を3Dプリントで出しても動く気がしなかったので避けていたのですが、やらざるを得なくなったのでやってみました。結論から言うと外径4mmぐらいの小さいものでもちゃんと動きます。
・3Dデータ
最初はいつも使っているFusion360で作ることを考えました。デフォルトでは歯車を作る機能が付いていないので調べてみたところ、無料のアドインが公開されているそうです。
で、それを入れて作ったのがこちら。
いじれるパラメータが多くはないですがそれっぽくはなります。ただし余計なものが付いているので削り落とさねばなりません。
ここまでやって、ふと思いました。
歯車も探せばフリー素材があるのでは?
で、適当に調べたらありました。
GrabCADという3Dモデルの投稿サイトにありました。12歯と7歯のセットです。便利な時代ですねぇ。Harm chang wooさん、ありがとうございます!
さて、このモデルはAutodesk Inventor用の拡張子だったので同じ会社のソフトであるFusion360にそのまま放り込めました。
元のモデルは12歯のほうが16φmmだったので、これを等倍縮尺機能で1/2にしたものと1/4にしたものを作りました。1/2なら動くだろう、1/4は外径4mmで7歯のほうはそれ未満だしさすがに動かないだろう、という想定です。また、性能試験を行うためギアボックスのようなものも作っておきます。
その他の怪しい物とくっつけてDMMのアクリルのXtreme Modeで出力してもらいました。
届いたら組み立てます。
φ8mm12歯のほうが動きました。実験成功です。動くもんなんですね。
ダメ元の12歯φ4mmのほうはというと……
動きました。低速域で回転がカクカクしていますが、これはご覧の通りにガバガバなジョイントのせいです。
この後、慣らすためにピカールを付けてしばらくグルグル回しました。すると本当にスムーズに回るようになりました。
というわけで、小さいベベルギアでも(少なくともホビー用途なら)3Dプリンターで作って使える物ができます。敬遠せずもっと早く実験しておけばよかった。
ここまで小さい歯車が上手く動くならば、過去の作品にも改良が加えられそうです。今までは腕時計を分解して得たごく小さい歯車を組み込むのに苦労していました。米粒程度の大きさしかないギアを扱うのが大変だというのもあるのですが、だいたいの樹脂製ギアは難接着性樹脂でできているというのも大変な点です。小さすぎてキー溝を彫るわけにもいかないので、ギア軸と歯車がすべらないように固定するのが難しいんですね。その点3Dプリントのアクリル材は瞬間接着剤で容易に接着できるので楽です。
これからも何か発見があれば上げていこうと思います。