
1926年8月(大正15年)に製造された電気機関車です。大正天皇の崩御が1926/12/25なので落成したのは大正15年で間違いないですね。

実車は信濃鉄道(現JR大糸線、信越本線の転換三セクではない)でのデビュー後各所を転々とし、1960年頃に松本電鉄に譲渡され2005年に引退したとのことです。現在はアルピコ交通が静態保存しています。
今回作っていくキットはプレスト社から直接購入しました。

2025年3月の「上高地線ふるさと鉄道まつり」に出店しており、ワ1欲しさに3両セットを買ってしまいました……(笑) せっかくなのでこちらも組み立て、動力化して「機関車」にしてやろうと思います。
小さいサイズの車両なので今回も例のごとく「Njゲージ」規格で走行化します。
■目次
キットを見る
構成は相当にシンプルです。車体、デッキ、台車×2とスノープロウを組み合わせて塗れば基本的には完成となります。同社製の「塗りガチャ」シリーズのリアル志向版と言ったほうが正しいかも知れません。

銘板や手すりまで一体成型なのが特徴的です。やや太めではあるものの、連結器開放テコやデッキ部のつかみ棒も真っ直ぐ綺麗に出ていてビックリ。凄いなぁ。
†先行研究†の調査

祭の会場で展示されていた公式の作例です。

機関車本体はT車で、キット同梱の大きな貨車(ワム3500)に鉄コレ動力を入れてください、というユーレイ方式の貨物列車セットとなっています。KATOのチビロコセットと同じ構成ですね。
動力化してみる
2025年のアルピコ電車まつりにて先行発売となったキットのため、さすがに制作記はないよな〜動力化のヒントないかな〜〜とか思いながら念の為調べてみたところ……ワールド工芸から弘南鉄道ED221のキットが出ていました!松電ED301と同じような特徴的な形をした電気機関車です。また、同社から松電ED301にも仕立てられるオプションパーツのセットも出ていたようです。
このキット、動力付というのでどんな動力を使っていたのか見たところ、
モーターが台車の中に収まるかなり斬新な動力装置を採用していますね……これ従軸の車軸が左右繋がっていない!?量産化するの大変だったと思いますよクォレハ……そんなワールド工芸さんも残念ながら25年3月末で廃業してしまいましたね。
他にもナローガレージのZパワーや箱根模型工房クラフトの「WB12-6.5H 標準動力ユニット」も検討しましたが、いずれもED301の特徴的な形状のボンネットに入りそうにありません。
というわけで、動力を自作することにしました。
M台車を作る
台車にモーターを縦向きに直接取り付ける方式で動力化することにしました。このアイデアはこちらのKATOチビロコ動力化の記事を見ていて思い付きました。ありがとうございます!
制作過程の写真がないのでいきなり改造後の状態ですが、こんな感じにしました。キットの台車パーツを切って幅を詰め、モーターホルダーとしてウェーブの外径φ7mm薄肉プラパイプを取り付けました。集電板はKATOの物を切って入れてあります。

ここにモーターを取り付けるとこんな感じ。試しに動かしてみたら想像以上にいい感じに動きました!
車両のスロー性能を確保するため、モーターはam͜a͉zonにある遊星歯車付φ6mmモーターを使っています。やろうとしていることは以前作った名鉄の軽トラ保線モーターカーと全く同じです。

モーターの部分は上述のギヤードモーターの出力軸のパーツをリューターで掴んでドリルで開孔し、KATOの動力台車から外したウォームギアをKATO旧車輪の車軸に取り付けたものを挿して作っています。芯振れゼロとはいきませんでしたが、まぁ許容範囲でしょう。
キット形式の製品は台車パーツに接着剤が効くのがありがたいですね。完成品Nゲージの多くは台車がポリアセタール製で改造に難儀するのです……
T台車をつくる
もう片方の台車にも集電板を仕込んでいきます。T台車は先ほど改造したM台車と同様に一旦†三枚おろし†にし、

こうしました。

床板の改造
元々のキットはT車前提で作られているためモーターの置き場がなく、代わりに運転台の中身まで作り込まれています。

運転台や座席の表現がよく出来ているので心苦しいのですが、室内表現を削り取ってモーターの居場所を確保します。
で、車体を取り付けてみたのですが……

天地が足りんorz
屋根の裏側も削り込んでモーターの置き場を確保しようとしたのですが、高さがあと少し足りません……ウォームギアをレール天面の下に突き出させると踏切通行不能になってしまうので何とかしたいところです。
……
ウォームギアって4山も5山も要らなくね?
ということで、

リューターにダイヤモンドカッターを装着し、ウォームギアを切断して長さを詰めました!これで天地方向に余裕ができます。
最後にコネクターと降圧用の抵抗(モーターが定格電圧3V、最高6Vなので)を取り付け、結果的にこんな感じになりました。電気コネクターはただのピンヘッダーです。

連結器
改軌した台車との干渉の確認のため、ここで一旦カプラーポケットのことを考えます。
結果的にカプラーポケットはキット付属の物を活用しました。削り込んだらギリギリ車輪を避けることができました(笑)

なお、キットの推奨はカトーカプラーNでしたが、少々アレンジしてTNカプラーを使いました。
車体の固定
キットの説明書にはデッキとボディは塗装後に接着するよう指示がありましたが、動力ユニットのメンテナンス性を確保したかったこと、デッキとボディの合いが良いことから、接着はせずネジ止めで固定することにしました。

ボディ内側にプラ材を接着し、そこにねじ止めすることにしました!床下機器パーツはこのネジに磁石でくっつける形で取り付けます。
また、このとき車体とデッキを組み付ける向きにも注意します。ボディには1️⃣2️⃣の順位表示の銘板が再現されており、かつデッキ部品のエアーホースの位置が両端で作り分けられているので自ずと組み立てる向きが決まります……が、キットの説明書には何も書いてないですし本体にもポカヨケがありません。せっかく造形にこだわっているのにもったいない気がします。
再掲となりますが実車はこんな感じです。写真左が新島々方で、2エンドが左になっています。

ウエイトを積む
トラクションと集電の安定化のために車体にウエイトを積んでいきます。
普段はこの手のウエイトには釣り用の鉛製のオモリを積んでいたのですが、古典蒸機派の模型仲間にタングステンはいいぞと聞いたのでam͜a͉zonで売っていたφ0.7mmのタングステンワイヤーを買ってみました。

して、1週間ほどで届きました。直径0.7mmの高纯钨丝です。タングステンを「钨」1文字で書けるのカッコいい。どうでもいいですが、包装の状態がam͜a͉zonに載っていたイメージ図と違いすぎて色々ツッコみたくなります(笑)これもまた中華クオリティでしょうか。
これを切り刻み、機械室に詰め込んでいきます。ワイヤーカッターで切っていきますが、脆性材料なのでたまに凄い切れ方をしますね……さけるチーズか?

結果、これぐらい詰め込めました。

さすがタングステン!たったこれだけでも鉄コレの純正ウエイトと同じ重さになりました。これは素晴らしいですねぇ。

ただ、1m買ったワイヤーが25cmしか残らなかったので……ウエイトの材料費だけで1300円!?素晴らしいのは間違いないですが、カネで解決的な選択肢ですねこりゃ。

後から知ったのですが、タングステン製のオモリは釣具屋でも売っているみたいですね。次回オモリで困ったときは検討してみようと思います。
試運転
スムーズに走りました!想像以上によく走ってくれて嬉しいものです。
パンタグラフの選定
キットの指定はTOMIXの0267のPS11なのですが、現行の保存車仕様だとどう見ても全く違うパンタが付いています。
色々と調べると実車がPS11を積んでいたのは登場時〜鉄道省時代かな?という気がします。今作の模型的に何だかしっくり来ない気がしたので、静態保存車となった今の仕様にすることにしました。
ちなみに今の実車のパンタグラフはこんな感じです。𝒯ℴ𝓈𝒽𝒾𝒷𝒶のロゴが見えますね。

Nゲージ用のパンタを色々見て回った結果、TOMIXのPG16が一番近いのではないかな、という結論に至りました。
元はTOMIXの初代東急5000(通称青ガエル)用のパンタとのことです……とすると、もしかすると今ED301に載っているパンタは松電5000形と一緒にやって来た部品だったりするかもしれませんね。
ディテールアップ
ヘッドライトにライトレンズを入れるため、φ1.8ドリルで穴を掘りました。

当初は点灯化しようかとか考えてもいたのですが、車種的に夜を往くような車両でもないこと、昔は昼間はライトを点けていないことが多い印象があったので見送っています。
また、全体的に大味で太い手すりや取っ手の類を金属線で作り直すことも一瞬考えましたが、デフォルメが上手くできているので厚ぼったいと言うよりは可愛いですし、細かいことを言い出すとキリが無いのでその辺りは全部そのままにすることにしました。
塗装
実車は松本電鉄に来てから何度か塗装が変わっているようです。1987年の昇圧前はピンク色、昇圧後はネイビーブルー、晩年は茶色となっていたようです。
特に決め手がなかったのですが、生で見た静態保存の姿もカッコ良かったのでぶどう色2号で塗ることにしました。
なお、乗務員室扉の窓枠はアルミシルバーにしようかとも思ったのですが、模型的にうるさい気がしたのでやめておきました。現役時代の実車はドア窓がアルミサッシ化されているのが特徴的だったのですが、静態保存化に向けた補修工事の時にまとめて茶色く塗られたようです。
ガイアノーツのNo.075「ニュートラルグレーⅤ」→マスキングしてFarbeのNo.012「ぶどう色2号」で塗り分けました。スケール感・重量感を出すために単なる黒ではなくニュートラルグレーⅤを使っているのがこだわりポイントです。

車体の黒い部分のトップコートはつや消しクリアーと半艶クリアーを半々で混ぜた75%つや消し、茶色い部分は半艶をやや多めにして仕上げました。屋根はツヤ控えめにしています。
シンプルな2色に見えますが、デッキ部品の塗り分けは結構面倒でした。

パンタグラフもニュートラルグレーⅤで塗りました。保存車となった今は赤の色挿しが入っているのですが、これはあえて省略しました。ちなみに現役時代のパンタは明るいグレー一色だったようです。
仕上げ
パンタグラフを取り付けます。

実車同様にパンタ下げ用のシリンダーを1エンド側に向けて設置しました。
プレート類に色挿しします。

最初にプレート類の凹部にタミヤのスミ入れ塗料を流して艶消しの黒にした後、凸部を4Artist Markerの金色で塗りました。お手軽にギラギラのメッキ風に仕上がるので愛用しています📀✨
なお、マーカーペンの筆先で直接塗るには細かすぎたので、マーカーの中身を一旦塗料皿に出し、タミヤのエナメルシンナーで薄めて筆塗りしています。
また、票差しはタミヤのエナメル塗料のXF16「フラットアルミ」で塗りました。
ライトレンズを入れます。

ヘッドライト部は内側を4Artist Markerの銀色で塗りました。ここもプレート類同様に筆塗りしています。
乾燥した後、ヨミテックスのヨミレンズ大目玉をリューターで掴んで削って小さくした物を入れました!全体的に暗い色の中でキラッと光るのがアクセントになります💿
エアホースのコックも塗ります。ホワイトサーフェーサーをペイントリターダーで溶いた物を筆塗りしています。隠蔽力が強いので色挿しにオススメです。

窓ガラスは適当な透明プラ板を貼っておきました。固定にテープ糊を使ったのがこだわりポイントです(基材無しで糊の成分だけなので、テープの厚みが気にならない!)。

松本電鉄ED301、完成!


カッコいい!可愛い!!先に組み立てていた松本電鉄の貨車と繋げるだけで大満足🥰筆者がNゲージ初心者の頃に遊んでいた貨物列車を思い出します。三つ子の魂百までとはよく言ったもんで……🚂💭

なお、1軸しか動かないので牽引力も登坂性能も😇です(笑) 卓上レイアウト専用ですかね。
貨車欲しさに買ったキットですが、気付いたら動力を自作して動力化しちゃっていました(笑)。末永く可愛がってやろうと思います。
実車資料
図面
簡易的ながら実機の図面がこちらに掲載されていました!ありがとうございますありがとうございます……主要寸法が分かるだけでも相当に有り難いものです。
2013年9月の撮影会イベントにて展示されていたようです。
この資料によると実車の車輪径は840mmとのこと。1/150すると5.6mmとなりますね。よく見る数値でよかった。
塗装
以下のサイトに現役で茶色い時代のカラー写真が掲載されていました!ありがとうございます!
色合いを見るに、これはぶどう色1号(戦前のELや客車にみられた色。いわゆる旧国や旧客の茶色はぶどう色2号)なんじゃないかなという気がしますが……真相はいかに?ページには撮影日が明記されていませんが、同じページに5000形デビュー(モハ10引退)を報せる看板の写真もあるので、1986年12月20日の少し前あたりの時期だと考えられます。
機関車として活躍中の姿
以下のサイトに、貨車を連結した姿の写真が掲載されていました。ありがとうございます!
後ろに繋がっているボギー無蓋車の形式が気になるところです。あとスノープロウ無しで走っていたこともあるんですね(そりゃそうか)。