日ノ出前検車区

趣味は朝活で。最近は備忘録と化しています

Tゲージの動力ユニットを分解してみた

日本で生まれたもののパッとしないままいつの間にか姿を消した軌間3mmの鉄道模型Tゲージです。かくかくしかじかの色々があって再び日本でも買えるようになりました。


小ささを活かし別の物に転用しようと考えてお前はいつもそうだYFS秋葉原で買ってきたものを分解して観察してみました。


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今回購入したのはこちら、『旧国鉄DE10形ディーゼル機関車』です。

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……はい。Tゲージはどちらかといえば風景づくりを楽しむ模型なので、ボディの造形は二の次三の次でよいでしょう。選択の理由はYFSの店員の方に「なんなら動力ユニットだけ欲しい」と正直なところを話したら一番安いこれを提案してくれたからです。あんなの飾りです、偉いh(ry





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Tゲージはとにかく小さいです。試しにNゲージと並べてみるとこんな感じ。Nが大きい模型に見えてきます。


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機関車丸ごと1両がGMの台車ケースに収まります。小ささがお分かりいただけるでしょうか。


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ガチャガチャのおもちゃ、『Cゲージ』と並べるとこんな感じ。Cゲージが自走するというイメージでだいたい合っています。


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色々な軌間鉄道模型大集合!左から16.5mm、9mm、6.5mm、5mm(独自規格)、3mmです。




さて本題です。

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ボディを取るとこんな感じ。栄進堂時代の古い製品だと、M台車・T台車・モーターを繋ぐ集電板は車体側に付けられておりそこの接点が走行を不安定にする要素となっていました。今の製品は全てが動力ユニット側に付いており走行性能は格段に向上しています。

十分なめらかに走ってくれます。ちなみにこれは純正パワーパックではなくKATOのスタンダードSXで動かしています。Tゲージは最大電圧が4V程度(公式のハンドヘルドコントローラーが乾電池3本で4.5Vと記載)なので上げすぎに注意しました。


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台車を外します。ここが一番面白いと感じたところです。台車に付いているバネはもちろん集電の役割も果たすのですが、この集電バネの力で台車を引き寄せることで、台車の上下方向は拘束しつつ回転自由度を残しています。

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普通のNゲージをそのままサイズダウンするような構造だと、歯車自体や組み立ての精度の都合でマトモに走らないのでしょう。部品点数や極小パーツの点数を減らす工夫に感心してしまいました。


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また、軸受けが非常に特徴的で面白いです。だいたいの模型は車輪が凸で集電板が凹ですが、なんと逆の関係になっています。台車レリーフを少しでも薄くするための工夫でしょうか。


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また、小さいがゆえに自重でレールに沿って走るのが困難なため、車輪が磁石、レールが鉄になっています。


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レールの断面形状はこんな感じ。さすがにI字(エ)型になってはいませんが、一応下辺のほうが長くなっています。


独自の工夫が凝らされていて面白いですね。




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冒頭の「別の物に転用しようと考えて」というのは、跨座式モノレールのレールの中にこの動力ユニットを走らせ、上に置いた車両を下から磁力で引っ張れば動く跨座式モノレールができるのでは⁉ということです。

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しかし、Nサイズの車体を牽引できそうな力はどこにもありませんでした。近鉄260系のショーティーを引きずる力すらありませんでした。考えてみれば当たり前ですね。以前Nゲージの自走式台車を作ったときも同じような極小モーターを積んだのですが、台車単体での自走がやっとなパワーしか出なかったからです。この方式での跨座式モノレール計画は諦めることにしました。

ちなみにどんな方法かは不明ですが跨座式モノレールの走行化に成功した例は存在します。こちらです。



さて。自重が軽すぎるので重力ではなく磁力でレールに吸い付いている、ということは重力が作用する向きはあまり関係ない、ということであります。



はい。∞‰の†勾配†だって走れます


崖登りどころか逆さまで走行することも可能です


これができるなら容易に懸垂式モノレールが作れるのでは?というアイデアを頂きました。確かにそうですね。懸垂式モノレールに関しては、2017年の国際鉄道模型コンベンション(JAM)で展示されていた、軌道桁内にBトレ動力ユニットを走らせてそこから車体をぶら下げる方式……の、Bトレ動力をZショーティー動力に変えて作ろうかと思っていました。しかし、この方式だと分岐が欲しくなったら自作せねばなりません。一方、Tゲージをひっくり返して使う方式なら分岐は買ってくるだけです。




他にも使い道が思いつきますね。15インチゲージは1/150の世界だと0.1インチ=2.54mm、だいたい3mmぐらいなので伊豆のロムニー鉄道(と元ネタのRH&DR)三岐鉄道北勢線阿下喜駅にあるミニ電車(もっとも、実物の車体が短いので動力ユニットを入れるのは難しそうですが)などもNゲージワールドに持って来られそうですね。

また、Oゲージの1/43~1/48の世界に持っていくと5インチゲージ相当になります。走る「模型の模型」ができるわけです。


本来の用途であるシーナリー作り以外にもアイデア次第で遊べそうです。色々と模索していこうと思います。


YFS秋葉原の店は将来的にTゲージの修理業務なども請け負う計画があるらしく、パーツ単位で売ることも可能になるかも、と仰っていました。車輪のバラ売り対応をぜひ!とお願いしておきました。森林鉄道などのトロッコを作ろうとすると超小型車輪が必要になりますが、そこまで小さい物はどこにも売っていないんですよね。なお、現段階でもモーターだけはバラで購入することが可能だそうです。

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