日ノ出前検車区

趣味は朝活で。最近は備忘録と化しています

【青春18きっぷで】赤沢森林鉄道に行ってみる【寄り道】

以前、深夜帯に上松駅を通った時に見えたトロッコ列車がきっかけで行ってみたかった場所でした。

・アクセス

公共交通を利用する場合は木曽福島か上松まで電車で行って、そこからバスを使うことになります。素直にバスの乗降を木曽福島駅にして往復とも特急に乗れば特に苦労することはありません(上松停車の特急も一部あります)が、ケチろうと思うと大変です。曲がりなりにもケチるルートを組めたのでこの記事の下の方に書いておきます。



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赤沢線のバスで終点の赤沢自然休養林まで行きます。ちなみに、往復券は薄い木に印刷されています。

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バスは途中から山道に入ります。

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道中の車窓からは切り出された木が見えました。今でも林業は行われているようです。

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結構な距離を走って到着。


トロッコ列車

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上松営林署赤沢線の廃線跡の一部を利用したトロッコです。往復800円。行った先の丸山渡(まるやまど)の停車場での折り返し時間に列車から降りることはできますが、停車場から出ることはできません。停車場から出てしまうと「旅客を輸送」したことになってしまい、法律上大変に面倒なんだとか。ディズニーランドのウエスタンリバー鉄道と同じような事情ですね。あれ、じゃあディズニーシーエレクトリックレールウェイは…?とか言い出すと法規の沼にはまるのでやめにしましょう

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乗車券は焼き印が入った板です。下車無効って書くまでもなく途中下車は禁止です。ちなみに、お土産屋では専用のスタンドを販売しています。20円だったかな?かなり安かった記憶があります。

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イメージ通りのトロッコ列車です。窓から見える物の説明をしてくれます。伊勢神宮で使う御神木はここから切り出しているらしく、あちこちに柵で囲われた切り株があります。

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途中にはR=15mのカーブが。実質スーパーミニカーブレールです。

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丸山渡では機回し作業の様子をホームから見られます。全手動の解結・転轍・連結作業に注目。転轍機はとっても古典的な物を、連結器は朝顔形を使用しているのです。

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ちなみにこのトロッコ列車、乗 客 0 人でも律儀に走ります。丸山渡は乗降不可なので記念館前で誰も乗らなければ運休にしていいはずなのですが……

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記念館の前、トロッコ乗り場の近くには繁忙期に活躍するであろう待合室があります。どう見ても実際に使われていた客車を流用したものです。そのままの実物のドアを自分の手で開閉できます。普通の保存施設ならば許されない行為なだけに感動してしまいました。

・記念館

森林鉄道で使われていた車両が屋根の下で静態保存されています。

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様々な車両が所狭しと並べられています。解説には車体の寸法が書いてあるのが模型鉄的に嬉しいところです。まさか巻尺を当てるわけにはいきませんからね。

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御料車も保存されています。上松駅まで線路が繋がっていた時代に当時の皇太子がここまで乗車したのだとか。乗り心地向上のため足回りまで特別仕様という気合の入りようです。

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ちなみに、記念館内の線路はトロッコの線路と繋がっています。ディーゼル機関車の機関庫の役割も果たしています。


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記念館の左の屋外にも車両があります。タンク貨車、除雪用のアタッチメント(?)、ごく小さな客車などが放置同然の状態で置かれています。屋内に入れてあげようよ……と思ってしまいましたが、建物の増改築をする予算がないのかお金はあっても国有林内なので書類上のウンヌンカンヌンがあるのか……記念館のすぐ横で遺産が朽ちてゆくのが気がかりでした。ところでこんな装置で本当に除雪できていたんでしょうかねぇ?

模型を作ることを一瞬考えてしまったのでトロッコの寸法を測ってみました。汎用台車?の横幅は113cm、車輪径はおよそ30cm程度でした。車輪はNスケールだとφ2mmとかなり小さいですね。

・散策道

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博物館の前の案内マップを見ると、トロッコ列車が走る線以外にも線路がありそうな感じです。


…丸山渡の手前で分岐していたアレに先があるのか??


ということで散策ルートを歩いてみました。

トロッコ列車の線路は川沿いに進んでいます。その対岸には「ふれあいの道」という散策路があり、丸山渡の停車場に歩いて行くことが可能になっています。森林鉄道の乗り場から早足で行くとだいたい15分程度です。

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これが丸山渡の停車場。

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その手前で分岐していまして、

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その先には赤いトイレがあります。これはトロッコ列車からも見えます。

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ロッコ台車が付いた木造の枠に仮設トイレを3つはめ込み、プラットホーム(?)に横付けしてある代物です。清掃用具入れ・手洗い場も付いています。これでも北陸重機工業製の立派な「客車」。機関車を使って下まで持って行き、汚物の抜き取りと清掃用品・薬剤の補充を行って再び機関車で引き上げてくるのでしょう。素敵な事業用車です。





トイレの奥に進むとさらに素敵な物が置いてあります。



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客車・貨車が放置同然の状態でレールに乗っています。

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木造客車は完全に腐っていました。

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廃好きの自分には最高でした。でも保存という観点から見るとあまり好ましくないんですよね。複雑です。

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ブルーシートに覆われているコレはどうやら先代のトロッコ機関車のようです。数年前までは雨ざらしだったとのこと。


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ところでこの廃客車の座席は、現在のトロッコ客車に付いていた「簡易転換クロスシート」に似た物でした。赤沢の森林鉄道が保存鉄道として復活してからしばらくは古い客車を利用していたそうですが、これは現役時代の客車の座席を換装したものなのか元々こうだったのかが気になるところです。


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ここから先は「線路の上を歩く」のが正規の散策ルートになります。

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やがて線路が通行止めになります。通行止めの先は保護地区になっているからだとか。本谷橋という橋で対岸に渡るのが散策ルートですが、バスの時間が迫っていたのでここで引き返しました。

今のトロッコ列車は先述の分岐を右に進みますが、現役時代の赤沢線は左、つまりこちら側だったようです。線路はこの先ウルシ沢、千本立、そしてまた別の路線と繋がって延びていたようです。ちなみに、丸山渡の先も丸山沢線という名の路線として線路が続いていたそうです。


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2時間半があっという間でした。18きっぷ旅行の寄り道としては交通費が若干高かったですが、それだけの価値はあると感じました。





・ケチる人向けのプラン

私は北から来て北へと帰るルートを取りました。電車に乗る分は青春18きっぷで済ませたかったのですが、トロッコ列車に乗れるバスが一日3往復しかない上に中央西線のダイヤが酷くてプラン作成に難儀しました。

まず、塩尻から特急で木曽福島駅に行きました。その日の朝は直江津糸魚川大糸線のムーブをしていたのでもっと早い普通列車で行くことはできなかったのです。

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この日は多治見?で人身事故が起こり乗った特急が木曽福島で抑止を食らいました。

木曽福島11:00発の赤沢自然休養林行きバスで行って赤沢自然休養林14:15発のバスで上松駅まで帰ってくる予定だったのですが、木曽福島駅前の観光案内所でこの場合に使える「ウラ技」を聞きました。

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木曽福島駅10:57発の上松町営バスの上松・倉本線(200円均一)で上松駅前まで移動し、そこで赤沢までの往復乗車券を買います。赤沢線のバスは木曽福島↔赤沢が往復2800円、赤沢↔上松が往復2000円なため、木曽福島→赤沢→上松で普通に乗ると2400円となりますが町営バスを利用すると2200円になります。
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ただし、これをやる際は必ず観光案内所の方にその旨を伝えてからにしましょう。そもそも上松駅での乗り換え時間がダイヤ上3分しかない上に、町営バスのほうは病院を経由して上松駅に向かうため、途中で赤沢線のバスに抜かれる可能性があるとのこと。私は案内所の方に上松駅を早発しないようにお願いしておいて頂きました。
また、繁忙期に実行するのもやめたほうがいいかも知れません。上松の観光案内所は一人で対応していらっしゃいました。
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帰りは14:15発のバスを上松駅まで利用しました。40分ほど待てば普通列車が来ます。駅前には商店があったのでそこで食料を調達して食べました。

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ここに来たいと思うきっかけとなったトロッコ列車。公道から近づけるみたいですが、上松は線路の反対側に行くのが大変なタイプの駅だったのでホームから眺めるに留めておきました。

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ちなみにですが、歩いていくのは無謀なのでやめましょう。中央線の駅間距離と比較すると分かりますが相当遠いです。ここまでナローゲージの鉄道を引いていた上、それでも最長の路線ではなかったというのですからロマンのある話です。

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