デッキガーダー橋を主役に据えたNjゲージ規格の直線モジュールを作る話です。
きっかけは仲良くして下さっている模型サークルが持っているレイアウトの老朽化でした。何か地面モノ作らない??と誘われたのですが、地面を大阪まで輸送するのは冷静にダルいな……と思いずっと見送っていました。
ある日、モジュールの本体を橋梁にすれば荷物が少なく済むのでは!?と気付いたので実践してみることにしました。
・目次
全体構成
こんな感じの、上路式プレートガーダー橋が連続する複線区間をイメージした模型にします。レールはZゲージ、複線間隔はロクハン標準の25mmとします。
また、お付き合いの関係上、モジュールの全長はTOMIXのコンビネーションボードAと揃えた600mmとすることにしました。
素材選び
橋桁の選定
今回はロクハン純正のデッキガーダー橋は使いません。
ロクハン製品を1/150ワールドに持ち込んでも支間長が短い低規格路線の橋としては丁度いいと思うのですが、今回は複線区間なので見送りました。
お値段的も定価1本約1700円とお高いので、仮に550mm複線をこれで埋めると……17000円ですかね(笑)
市販の完成品デッキガーダーは橋桁のサイズに違和感があった(後述)ので、今回は津川洋行のデッキガーダー橋をアレンジしながら組むことにしました。
橋脚の検討
複線間隔25mmにふさわしい橋脚を探します。
色々と見た結果、TOMIXの複線コンクリート橋脚を使うことにしました。
元々は下記の複線コンクリート橋向けに作られた橋脚のようです。TOMIXからこんな素敵な製品が出てたんですね。全く知りませんでした。例示した南武線の多摩川橋梁だと脇にある武蔵野貨物線の橋にピッタリ……!
架線柱の検討
せっかく地面モノを作るので架線柱を立てます。
ガーダー橋の区間に立てる架線柱の柱は鉄骨が主流のようなので、選択肢はTOMIXのトラスかKATOのラーメンか……でもどっちにしてもそのままだと幅が広すぎるしな……とか思いながら模型店に向かいました。
で、店に入ってすぐにに違う選択肢で決まりました(笑)
KATOの単線架線柱です。橋脚に横付けするタイプの台座が天才すぎて即決してしまいました。
同時にGMの複線架線柱も購入。KATOの電柱とGMのビームを組み合わせ、欲しい幅の複線架線柱を作ることにしました。
こんな感じを目指したいと思います。
レールの入手
Zフレキシブルレールの定番、PECOのSL-200を使います。
はるか昔にIMONで一本だけ買ったのが手元にあったのですが、足りないので買い足しました。市場在庫を探ったら「エキサイトモデル」さんにあったので買ってみました。
届きました。12本送料込で20870円。フレキとしては値が張りますが、IMONで再販した(2024年3月31日現在在庫なし)時も随分値上がりしていたそうなので仕方がないでしょう。ロクハンの道床なしレールを使うよりは安いので問題ありません。
どうでもいいですがこのお店、Twitterの使い方については考え直したほうがいいと思いますね。
以上を雑に組み合わせるとこんな感じ。
いい雰囲気じゃない?作っていきましょう。
組み立て
レール敷設高さの検討
机の天面からレールまでの高さは、筆者が所属している「Njゲージクラブ」&近畿のNjゲージ系サークル「SKDモデラーズ」のモジュール規格に合わせ「机の天面から40mmの所にロクハンの道床付レールを敷いた高さ」と揃うようにします。
TOMIX橋脚を30mm分積み重ねてフチ?を削り取り、津川洋行の橋桁を置いてPECOの線路を敷いたら丁度いい高さになりました(笑) これでいきましょう。
なお、実際には運転会の設営の時にボードの下にマット等を挟んで高さの微調整を行うので、レールの高さでそこまで神経質になる必要はありません。そもそも貸し会議室の机の天面高さのバラツキが±0.5mmとかの範囲に収まっているわけが無いですから、ね。
橋桁の組み立て
津川洋行のプレートガーダー橋を組み立てます。
Zゲージのレールを敷くので、素組みではなく横幅を詰めて組み立てます。
ちなみに実物も横幅は車体よりも狭いぐらいが正解のようです。例えば下の写真を見ると、F級電機が通るような橋でも橋桁の横幅は車体よりも細いことが分かります。
第ニ浜名橋梁(弁天島-新居町)東海道本線
— 陽氣發處(ブラックな足尾の猫) (@mamu_610taka) 2015年10月27日
橋長:197m
架替:第一浜名橋梁と同じ
真ん中付近のプレートガーダが中路式の空頭高を取っているのは船舶の航路のためです。ここ以外は空頭が低い上路式のプレートガーダ桁橋でした。 pic.twitter.com/jQxJfqyH9l
枕木方向の材は幅を9.5mmに詰め、六角ナットが入る穴を開けました。このネジとナットでフレキシブルレールを橋桁に固定します。
ジョイナーはロクハン製品を使用し、ロクハン純正の道床付レールと接続できるようにします。
ジョイナーのツメを引っ掛ける部分は黒いプラ板で自作しました。
こんな感じになります。
上に敷くフレキシブルレールの長さは1本を550mmの半分の275mmとし、橋桁のキットはパネル1枚分詰めた上で2枚繋げて組むことにしました。
ちなみに先述の南武線の多摩川橋梁の標記を見ると、支間は19.2mとのことでした。1/150すると128mmとなります。今作は支間長137.5mmで仕上げることになるので、丁度いいぐらいの長さですね。
橋脚&架線柱
KATOの架線柱台座をカットし、ある程度横幅を詰めてTOMIX橋脚にネジ止めします。
ねじ止めしたら、電柱を挿す場所にハイキューパーツのφ2.5ネオジム磁石を仕込みます。一方、電柱のほうにはM1ネジをねじ込んでおきます。
すると、力がかかったら倒れてくれる架線柱になります!これで引っ掛けても安心です。
架線柱の改造
GMの架線柱は横方向に詰めます。ちなみに複線間隔は33mmでした。TOMIX派なんですね。
ビームの斜材の部分で切断して貼り合わせることで接着面積を稼ぎました。接着の際にプラ用接着剤が使えるのがGM製品のいい所です。材質表示が「ABSまたはPS」なのはナメとんのかって思いますが……
くっつけたら電柱を切り落としビームだけにしてから端部を整え、KATOの架線柱に挿せる形にしました。
組み立てるとこんな感じ。GMのビームが透けているのが気になるので、ここは後で塗装してやりましょう。
下束の先に振れ止め金具を付けようかとか思いましたが、細くて折れそうなので見送りました。
鉄道の架線設備については以下のサイトを参考にしております。
下束は「さげつか」と読むみたいですね。いくらググっても出てこなかったのですが、Microsoft Copilotに聞いたらいい感じの出典を探してくれました。時代の変化を感じます。
続きます。
次回は細かい部分を仕上げていこうと思います。
プレートガーダー橋の横幅について語るコーナー
今回の記事では橋桁のサイズにこだわって制作を行いましたが、そもそもこの考察を行うきっかけとなったのはKATOのデッキガーダー鉄橋でした。
カーブ線路が事実上の飯田線シリーズとして話題になったアレです。カッコいいのは間違いないのですが、どうにも違和感が拭えず本格的な導入を見送り続けていました。
ある日気付いたのが、
太くね??
気になったので実物の写真を探してみると、
電車が通るとちらちらと散る桜がエモポイントです🌸 pic.twitter.com/Vru45M13tq
— 秩父鉄道【公式】@パレオくん&パレナちゃん (@paleo_palena) 2024年4月10日
こちらは秩父鉄道…長瀞駅のあたりかな?車体幅よりも橋桁のほうが細いです。
そしてこちらは伯備線井倉駅近くの第7高梁川橋梁。やっぱり車体幅より橋桁のほうが細い。
井倉で273系新型やくもを撮影!
— マリン (@Cresta_GX100) 2024年4月6日
このカラー映えますね。ロゴマークも良い。 pic.twitter.com/bDHiqVDVsi
先週「淀川の河川敷から見る阪急電車が好きすぎて何度も投稿したい」と投稿したら、温かいお声が多かったのでうれしいです☺️そうですよね、鉄分は栄養ですもんね(?)
— 阪急電鉄 【公式】 (@hankyu_ex) 2024年4月15日
お言葉に甘えて定期的に投稿させてください~!いつも同じ場所からなので、次は反対側から撮ってみようかなと思ってます✨ pic.twitter.com/V1ND1ysZUl
そして阪急。淀川を渡る長い橋梁区間ですが、橋桁の横幅は車体どころか床下機器がはみ出すぐらいに細いことが分かります。上路式ガーダー鉄橋が細いのは狭軌線だけの話でもなさそうです。
というわけで、模型のプレートガーダー橋が太すぎるのは気のせいではなさそうですね。
続いて図面資料を見てみましょう。「新ぜかまし文庫」さんの橋梁図面です。
大正8年の図面ではありますが、資料としては申し分ないでしょう。クーパー荷重のE33…軸重約15tを基準にしているもののようです。15tだとD51はセーフでC62はアウトぐらいの軸重のようですね。
図面を見ると、支間長によって断面形状が異なり、支間長50ft(≒15.2m)以上の場合の橋桁の横幅は5ftとのことです。これを150で割ってやると、10.2mmぐらいがファインスケールと言えます。
今回の記事で作った橋桁で丁度いいぐらいですね。
一方、支間長が40ft(≒12.2m)以下の場合はと言うと橋桁の横幅は4ft(≒1.22m)で、これを150で割ると約8.1mmです。
ロクハンのデッキガーダー鉄橋でおおよそファインスケールです。ロクハン製品の長さ55mmの物なら、橋桁の高さ方向まで含めて25ft鉄橋としてピッタリなことが分かります。
一方、KATOのデッキガーダー鉄橋はと言うと、
幅15mmです。あまりに太すぎですね。S124のレールなので支間長は実物換算で18.6m、そんなに長いわけでもありません。実物でも太そうなのはありますが、上を走る車両と比較すると支間が20m以上ありそうです。
ヘッダーにもあるけど105系訓練車の廃回を再現したい(^ω^)←できんのかよ?w pic.twitter.com/bmCZHVis7D
— オオヒサ (@yamoto_tetsudo) 2014年7月31日
どうして鉄道模型各社が橋桁の横幅をこんなに大きく作っているのかが気になるところです。KATOに関してはユニジョイナーがデカいからという理由が思いつくのですが、TOMIXもGMキットも同じような横幅、何なら津川洋行のキットも素組みすればそんなもんです。各社が横並びでデフォルメしている以上、何か理由はあるのだと思いますが……
色々と書きましたが、資料は正直斜め読みなので間違っている可能性があります。何かございましたらコメントをお願い致しますm(_ _)m